2019年2月28日

2019年2月28日

さて、2月は28日でおしまいで、こんなことにするくらいなら、31日ある月から1日ずつ2月に回せばいいのにとかいつも思う……んだけど、これはたしかローマ時代に決められたことで、まったく、あの頃のローマの皇帝にうらみは多い。
とか考えながら、3月の予定をみてみたらゼミ合宿と翻訳講座の合宿があって、青山ブックセンターでのイベントがふたつあって、3月28日にはまだ告知は出てないけど、池袋の梟書茶房でグラフィックノベルのイベント……の予定。
そういえば、先週、『ビューティフル・ボーイ』の試写会にいったんだけど、これがほんとによくて、久しぶりに泣きそうになってしまった。センチメンタルな映画ではまったく泣かないんだけど、ぎりぎりのところで胸に刺さってくる映画をみると、年のせいもあって、泣いてしまう。
ドラッグにはまってどうしても抜けられない息子と、その息子を必死に救おうとする父親のドラマ。じつにありきたりで、よくあるテーマなんだけど、人格とか性格とか環境とかまったく関係なくドラッグにはまってそこから這い上がれない人間がいて、それをなんとかしたい親がいる、しかし、最後の最後にはその親が、自分にこの子を救い出すことができるのかどうか自問しなくてはならなくなる、そういう状況がリアルに描かれていて、最後のほうは苦しくてしょうがない。映画が終わって、エンディングロールが出て最初の数行を読んで、これをうちでみてたら、絶対に泣きだしたよなと思ってしまった。
その男の子を演じているのが、『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメ。父親役がスティーヴ・カレル。どちらも素晴らしい。
あと、音楽の使い方が抜群! 監督、フェリックス・ヴァン・ヒュールニンゲン、これが初めての英語作品らしい。注目!


さて、毎月恒例の赧郡果蕕気鵑らのお知らせです。
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みなさま

日の経つのが早すぎて、色々なことが滞っております。
いつもお世話になりありがとうございます。
今月は心配した雪もほとんど降らず、おさらい会は大盛況。また演芸場公演、翌日の「附けの會」もとても盛り上がりました。
クローズドでは、東京女高師&お茶大付属中高同窓会イベントで、三味線解説&土佐恵さんと寺子屋の奥を演奏してきました。
お運びのみなさまにお礼申し上げます。

今後の予定です。

・3月1日(金)、2日(土)18時半 「じょぎ」 上野広小路亭
「一谷嫩軍記」 組討 越里・寛也。1日は前半、2日は後半と、また組討を勉強します。少しでも深めていければと思います。2日連続で一段ぜひ。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1008

・3月6日(水)1部9:20 2部11:00 3部13:30 「女流義太の世界 〜講義と体験、演奏を楽しもう〜」 横浜市立大学(金沢八景)
「加賀見山旧錦絵」草履打 土佐恵・寛也。3部に出ます。三味線解説、ワークショップ、演奏。公開講座です。高校生無料、大人は有料。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1119

・3月10日(日)14時 「はじめての人形浄瑠璃「ひとみ座乙女文楽」 」新潟県魚沼市小出郷文化会館 小ホール
「義経千本桜」道行初音旅 綾之助・土佐子・寛也・津賀花。生まれて初めての魚沼。八海山の雪室に行く時間はないようです。残念。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1118

・3月16日(土)10時半 「義太夫教室71期卒業発表会・OB演奏会」深川江戸資料館小劇場
「絵本太功記」妙心寺 教室51期卒業生の三味線を弾きます。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1116

・3月20日(水)18時半 「女流義太夫演奏会3月公演」お江戸日本橋亭
「本朝廿四孝」 奥庭狐火 土佐子・寛也・ツレ三寿々。狐火の前の十種香は駒之助師がおつとめになります。予約続々、日本橋亭は狭いので本当にお早めに。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1091

・3月23日(土)11時 「一日体験教室」豊川稲荷文化会館3F
講師をしますが三味線はすでに〆切だそうです。(語りは13時半〜、講師越若) ※4月からは義太夫教室第72期の三味線講師をつとめます。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1107

・3月30日(土)第2部 13時半 「2019都民芸術フェスティバル 第49回邦楽演奏会」国立小劇場
「義経千本桜」河連法眼館 駒之助、津賀寿、ツレ寛也。2部の最後、狐忠信の場面です。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1096

・4月7日(日)14時 「第17回はなやぐらの会」 紀尾井小ホール
おかげさまで完売しました ※チケット発送準備中、しばしお待ちくださいませ。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?year=2019&month=04#schedule1034

・4月20日(土)13時半 「女流義太夫4月公演」お江戸日本橋亭
弾く出番はありませんが、「御所桜堀川夜討」弁慶上使の段の簡単な解説をします。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=4&year=2019#schedule1108

・4月23日(火)14時 「 第2回女流義太夫と上方舞」 橋楽亭(三越前 コレド室町3)
「傾城恋飛脚」新口村の段、「十二月」 越孝・寛也・山村若静紀。残席20数席、お早めに。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?year=2019&month=04#schedule1087

どうぞお誘いあわせてのご来場をよろしくお願い申し上げます。

鶴澤寛也
http://tsuruzawakanya.com/
Twitter、Facebookやってます♪ Instagram再開しましたが滞っております♪


2019年2月19日

今日は市ヶ谷で体育会の部長監督会議。このところの大学の不祥事を受けて、ハラスメントについての弁護士さんの話をきいたり、大学スポーツ協会(UNIVAS)加盟についての話をきいたり。
大学スポーツも変わっていくなあというのが実感。ただ、企業からみれば15年以上遅れてるという意見もあり。なるほどと思う。


さて、久しぶりにアメリカの角谷くんからのメールがきて、これがまたおもしろい! 日本とこーんなに違うんだと驚いてしまった。というわけで、ここでご紹介します。


こんばんは。

パーシージャクソン、外伝も含めて読み終えました。今、The Heores of Olympus を読み始めたところ。早く読まないと子供達にネタバレされてしまう。

最近、学校図書館内の本ををジャンル別に分けようとするのが流行ってきています。ライブラリアンのミーティングでも議題になっています。ノンフィクションはDeweyで分けられているので、フィクションだけ。ほとんどの学校では、フィクションは著者のラストネームのアルファベット順。背にジャンルを示すシールを貼っている学校や、あるジャンルの本を数冊取り出してディスプレーしとう学校はありますが、ここフリーモントの学校ではジャンルで分けている学校はまだありません。(しばらく行ってませんが、フリーモント、サンホゼ周辺の公共図書館でもジャンルに分かれてなかったと思う。)だったらやってやろうじゃあないか、と思うのが僕。夏休みの間は図書室に入れない(鍵を返さなければいけない)ので、夏休み前後に一つのジャンルだけ分けて、毎年一つずつ増やしていこうと計画中。日本の図書館って、ジャンルに分かれていたかな?中学は図書室があったのかも覚えていない。小学校は、少年探偵・ホームズ・怪盗ルパン(いずれもポプラ社)が同じ場所にあったのは覚えているけど、他のはジャンル別だったって気がしない。高校は著者の五十音順やったと思う。大学はレポート書くためだけに図書館を利用していたので、フィクションのセクションがあったのかも知らない。


もう一つ、最近、議題に挙げられたのが、返却が遅れている本の通知。高校生には本人に送るだけでいいのですが、小中学校では親に通知を送り、本を見つけられない場合の罰金などが書いてあります。学校によっても違いますが。僕は、返却が1ヶ月以上遅れたら通知を送ります(担任の先生に渡す)。通知には、本のタイトルと本のカバーの写真をプリントし、この本の返却が遅れているので探してあげてください。もし見つけられなければ(1)罰金を払う、(2)新品か新品同様の状態の同じ本を買う(ハードカバーの場合はハードカバーの本、と明記)、のどちらかを早急にお願いします、と書いています。(あまり人気のない本だと、オプション(3)でアマゾンの学校図書館の欲しい物リストの中から好きな本を一冊買う、ってのを追加。)ところが、市の教育員会からプライバシー保護のため、本のタイトル、カバーを載せないように「お願い」が。ある学校に男女の双子の生徒がいたのですが、二人揃って本の返却が遅れた(もしくは失くした)で、そこのライブラリアンが親に通知を送りました。女の子は女の子だったのですが、男の子の方は「男の子の体で生まれてきちゃった女の子」だったようで、それを親にも隠していた。で、男の子の読んでいた本を見て親がビックリ!ちょっとした騒動になったらしいから、だそうです。僕は「男の子の本、女の子の本、なんてない。本は本。せやから、男の子が妖精の本やバービーの本を読んでも構わないし、女の子がキャプテンアンダーパンツを読んでも構わない。そして、それでからかったりすることは絶対にアカンで。NO BOOKSHAMING!」と子供達に言っているのにも関わらず、そういう事を言う親がいるのも事実。教育委員会からのお願いに強制力はなく、小学校のライブラリアン達は反対。六年生の子でさえ「どの本?え?そんな本、借りたっけ?」ってのが少なくない。そんな子供の親に本のタイトルも知らせず「探してあげてください」って言うても、どうしようもない。なので、ライブラリアンの判断に任されることに。僕は、通常通りの通知を作り、親に本のタイトルを知られたくなかったら僕のところにくるように子供達に伝えました。そしたら、本を失くしたことを親に知られたくない、と言ってきた生徒が。虐待か?と思って聞くと、叱られるから、とのこと。「それは仕方がない。今度から失くさないようにしなさい。通知を渡さなくっても、メールで親に送れるからね」と念押し。すると、この親から図書室に電話が。「息子が借りてきた本は中古なのに、新品か新品同様の本を代わりに渡すなんて不公平やん!」・・・。そういえば、この親、昔、クラスでクリスマスのbook exchangeの時に、半分濡れ、ページが破れてなくなった本を適当なギフトラップに包んできていたな。(寧斗がその本に当たっちゃった・・・。)経済的に負担のある家庭には公にはしてへんけど、免除できるんやけど、そこはそういう家庭じゃあないからねぇ。そこからは、まだ罰金も代わりの本も届いてません・・・。

さて、面白い記事を見つけたので。

https://www.vox.com/the-goods/2019/2/14/18223954/a-novel-book-cover-reading-line?fbclid=IwAR3eEARSW4NKyDs5OYHKfz-vFiMg3Dniei-jKLsjBaH_ChHdGBXINn05N_g


2019年2月17日

昨日の夜、なんとなく胃が重く、体がだるくて、12時に寝て、朝10時に目が覚めて、体温を測ってみたら、37度という、なんとも微妙な体温で、節々が軽く痛む。あ、まずいなあと思ったものの、風邪ではなさそうだし、もうインフルエンザはやっちゃったし、いったいこれはなんだろうと、悩んだあげく、生まれて初めてバファリンというものをのんでみた。とりあえず、軽い胃の不快感と熱だけなので、まあ、熱だけさげようという発想だ。風邪薬のむのも変だし。胃薬はのんだし。


ただ、午後の用事はしんどいのでキャンセルして(ごめんなさい)、17時からの青山ブックセンターでのイベントには、これもまた生まれて初めて、ユンケル黄帝液を飲んで参加。


それにしても、バンド・デシネの原正人さん、話が異様に面白くて楽しい。何よりエネルギッシュ。なんとなく、天野健太郎さんを思い出してしまった。


そのあとの打ち上げであれこれききたかったものの、気力が続かず、そのまま帰宅。残念。


そうそう、考えてみたら、今日は食欲がなかった。風邪でもインフルエンザでも、食欲だけは落ちることなく、しっかり食べるのに、今日はまったく食べる気がせず、トースト1枚しか食べてなかった。なんとなくいなり寿司なら食べられそうな気がして、近くのコンビニによったら売り切れ。しかたなく、うちにあるレトルトのいなり寿司用油揚げにご飯を詰めて食べる。気がついたら賞味期限を過ぎていたけど、おいしい。


そのあと、体温を測ってみたら、バファリンがきいたのか平熱にもどっていた。
いったい、なんだったんだろう。しかし、体はなんとなくまだだるいので今夜は早く寝よう。
2日連続で休肝日となる。
 


2019年2月10日

昨日(いや、一昨日)の教文館のイベントにきてくださったみなさん、ありがとうございます。バラカンさんとのイベントはこれで3回目。なんとなく、ふたりとも息が合ってきたような気がします。あと1回か2回できるといいなと思っているところ。


さて、今月の17日(あ、もうすぐですね)、青山ブックセンターで「BOOKMARK」13号刊行記念のイベントがあります。ゲストは、バンド・デシネの翻訳の第一人者、原正人さん。バンド・デシネとグラフィックノベルはこれからの大きな可能性だと思います。ぜひ、遊びにきてください。
http://www.aoyamabc.jp/event/bookmark13/


もうひとつ、24日の日曜日は北本市立中央図書館で講演。
ヤングアダルト小説について。
https://www.library.kitamoto.saitama.jp/toshokan/sp/oshirase/event.html


それから、毎月恒例の赧郡果蕕気鵑らのお知らせです。

 

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みなさま
あっという間に2月、立春も早過ぎてしまいました。
いつもお世話になりありがとうざいます。
1月の弓弦葉の会、初春公演ともにおかげさまで盛況、寒い中のお運びありがとうございました。

さて今日は悲しいお知らせをしなければなりません。
「はなやぐらの会」「義太夫を聴こう」などで大変にお世話になっていた作家の橋本治さんが、1月29日にお亡くなりになりました。
天才でかつ本当にお優しく、公私に亘りどれほど助けていただいたかわかりません。
教えて頂いた色々なことを思い出しながらこれからも勉強していくことで、少しでもご恩返しをしていかなければと思っています。
また、お話をお願いしていた「第17回 はなやぐらの会」には、橋本さんと大変ご縁の深い俳優の篠井英介さんが、「橋本先生へのご供養ご恩返しになれば」と、なんとお手伝いをお申し出下さいました。
ありがたくお受けして、演奏後に橋本さんを偲ぶ対談をさせていただく予定です。

*****

2月・3月の予定です

・2月11日(日)13時 「第17回鶴澤寛也一門おさらい会」 ほり川
うちの三味線のお弟子さん達のおさらい会。綾之助師、土佐子師、越孝師が語って下さいます。私もサポートで出演します。無料、茶菓付。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=2&year=2019#schedule1102

・2月21日(木)18時半 「女流義太夫2月公演」 国立演芸場
「伽羅先代萩」御殿(後半) 土佐恵・寛也 8年ぶりくらいの御殿の段です。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=2&year=2019#schedule1090

・2月22日(金)19時 「附けの會 女流義太夫の世界を知る」 浅草公会堂第2集会室
越孝・寛也 ※歌舞伎のツケ打ち、山徹さん主催の会。演奏・レクチャー・ワークショップ。ツケ打ち体験もできるそうです。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=2&year=2019#schedule1092

・3月1日(金)、2日(土)18時半 「じょぎ」 上野広小路亭
「一谷嫩軍記」 組討 越里・寛也 1日は前半、2日は後半とまた組討を勉強します。少しでも深めていければと思います。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1008

・3月16日(土)10時半 「義太夫教室71期卒業発表会・OB演奏会」深川江戸資料館小劇場
「絵本太功記」妙心寺 島崎祐子さん(義太夫教室51期)の三味線を弾きます。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1116

・3月20日(水)18時半 「女流義太夫演奏会3月公演」お江戸日本橋亭
「本朝廿四孝」 奥庭狐火 土佐子・寛也・ツレ三寿々 十種香は駒之助師がおつとめになります。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1091

・3月23日(土)11時 「1日体験教室」豊川稲荷文化会館3F
三味線の講師をします。(語りは13時半〜、講師越若) ※4月からは義太夫教室第72期の講師をつとめます
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1107

・3月30日(土)第2部 13時半 「2019都民芸術フェスティバル 第49回邦楽演奏会」国立小劇場
「義経千本桜」河連法眼館 駒之助、津賀寿、ツレ寛也 2部の最後、狐忠信の場面です。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?month=3&year=2019#schedule1096

◇前売情報
・4月7日(日)14時 「第17回はなやぐらの会」 紀尾井ホールへのお申し込みが便利です。ネット販売も始まりました。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?year=2019&month=04#schedule1034
・4月23日(火)14時 「 第2回女流義太夫と上方舞」 前回完売、お早めに。
https://tsuruzawakanya.com/schedule?year=2019&month=04#schedule1087

どうぞお誘いあわせてのご来場をよろしくお願い申し上げます。

鶴澤寛也
http://tsuruzawakanya.com/
Twitter、Facebookやってます♪ Instagram再開しましたが滞っております♪


2019年2月3日

2019年2月3日
インフルエンザもほぼおさまり、30日は翻訳講座を4時間やって、そのあと、一服してから、築地のふげん社さんへ。23日のサリンジャーのイベントがインフルエンザで中止になって、その代わり。
1月23日に予約していらっしゃった方々、本当に申し訳ありませんでした。
ふげん社さん、初めていったのですが、とてもいい本屋さんで、なにより雰囲気がいいし、落ち着けるし、なによりまた、こだわりの選書が楽しい。
手塚治虫の『奇子』の「手塚治虫生誕90周年特別出版」の上下巻が置いてあったりして、つい買ってしまった。
手塚治虫、ほぼ全作品を読んでるんだけど、それほど好きではない。どれも、1度読んだらいいかなという感じ。ただ、『奇子』『ばるぼら』『どろろ』は別で、この3作品は何度かくり返し読んでいる。それで、2017年に出たこのオリジナル版を読んでみたところ、なんと、この上下巻は全体の前半で、後半、奇子が主人公になって展開する予定だったとのこと。だれか、この後半を描いてくれないかなあ。『火の鳥』は桜庭一樹さんが書くとのことだし。


2月2日の午後は、梅田の蔦屋書店さんで、藪内亮介さんの第1歌集『海蛇と珊瑚』(角川書店)をめぐるトークイベント。
『海蛇と珊瑚』に最後に寄せられた永田和宏さんの文章によると、こんな人らしい。
「声は低く、無口で、おまけに愛想が悪い。自分から楽しそうに話しているのをあまり見たことがない」
というわけで、対談(というかインタビュアー)を引き受けたものの、えー、この通りの人だったらどうしようと気をもんでいたのだが、会ってみると、とてもにこやかで、話しやすく、ちょっとシャイなところはあるけど、なにより、短歌観がおもしろい。というわけで、無事、イベントが終わりました。
とにかく、この歌集、ぜひ読んでみてほしい。いくつか、好きな歌をあげておきます。


傘をさす一瞬ひとはうつむいて雪にあかるき街へ出でゆく9

雨といふにも胴体のやうなものがありぬたりぬたりと庭を過ぎゆく20

雨はふる、降りながら降る 生きながらいきるやりかたを教えてください23

雨粒のひとつひとつに眼がひらく 空に見られぬよう傘を差す28

鱗しか持たぬ魚として雨を、本の一頁として花を29

眼球の比喩の葡萄を剝きながらむきながら葡萄の比喩の眼球30

すはだかのままに降り来る雪のなか「愛は冬眠するけものだね」35

ひるがへるひかりの扇、淋しいといふ字のなかの林にあそぶ43

鉛筆を取り換へてまた書き出す文字のほそさや冬に入りゆく45

降り終へた雪がもつともさびしいと指にすくひてあなたは云へり47

風呂場とふ立方体にひとり居てただよふぬるき水粒を吸ふ48

川の面(も)に雪は降りつつ或る雪はたまゆら水のうへをながるる49

眼底に雪はさかさに降るといふ噂をひとつ抱きて眠りぬ69

死を孵すながき時間も要るのかもしれず 雪吸ふ夜の川みゆ75

冬の野に線降らす雨いつだつて一歩後れに感情は来る77

絶望があかるさを産み落とすまでわれ海蛇となり珊瑚咬む78


じつは、今回のイベントで藪内さんにききたいと思ってて、きけなかったのが、原発がらみの作品。きくならじっくりきこうと思っていたところ、時間切れで、きけなかったのが残念。この歌集のなかに原発がらみの連作があって、これが驚くほどインパクトがある。たとえば、こんな感じ。


子が親に似るといふこと原子炉が人類に肖(に)てゐるといふこと90

あなたから全人類に配られる数マイクロシーベルトほどの愛90

致死量の愛、其れはすなはち一〇ベクレル、もちろんわれも死に至るなり90

ほそく降る月のひかりに照らされてあなたは青い鈍器のやうだ91

被爆限界量をしづかに上げるとき身体のどこか雪の降りゐる92

湯に浸かりあなたの死(しに)を思ふときわれの象(かたち)に湯がくぼみ93

われらは原子炉の灯をともし黄色(おうしょく)の花さかさまに咲かすひまはり94


この連作は、この歌集のなかでは異色の部類に入るんだけど、とてもとても藪内さん的で素晴らしい。こんな歌を詠む人がいること自体、うれしいけど、こんな形で歌にできる人がいるというのがうれしくてたまらない。
この歌集、もうひとつ素晴らしいのが装幀。ちょうど1年くらい前に出た、『鉄の蜜蜂』と同じ装丁家の方が担当したとのこと。


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