2013/09/12(木)

文月悠光の第2詩集『屋根よりも深々と』(思潮社)がおもしろい。日本にいるときは、ほぼ毎日、ぺらぺらめくっている。こないだTさんにあげたので、手元になくなってしまった。買わなくちゃ。日本の現代詩はずっとずっと谷川俊太郎独り勝ちの状況が続いていて、これをひっくり返すのはだれだろうと思っていたんだけど、もしかしたら……という可能性は十分にある。

もういくつかパソコンで打ちこんでしまった。たとえば

余白を孵す

(中略)

紙の白に手を這わせると
ひとつのささめきが指先へ打ち返してきた。
”さあ、余白になるのです”
わたしはかぶりを振って言い放つ。
誰もいない場所は余白たりえない。
白紙を余白へあたためゆく者は、
私の血であり、物語なのだ、と。
”ですが、あなた自身もまた
世界の余白のかけらではありませんか。
行間で寝息を立てている、あれは誰か。
揺り起こしに向かいましょう”

(中略)

足うらに三日月が、
爪の切れ端が、刺さりゆく。
断ち切られても、なお
私へ爪を立てる私なのだ。
いま、想定されるために
生まれなおしたい。
私の赤い血が
余白を孵す。


本当は全部引用したいところだけど、このくらいで。


それから、翻訳物ではカレン・ラッセルの『スワンプランディア!』(左右社)を読み始めて、三分の一くらいまできたところ。異様におもしろい! 設定、人物、プロット、文体、比喩などなどすべてユニークで飽きない。著者は1981年生まれ。訳者は原瑠美、1982年生まれ。原文とつきあわせていないので、詳しいところはわからないけど、日本語を読む限り、とてもセンスがいい。それからこの本を出版した左右社もすごい! すいません。こんな出版社があるのはいままで知らなかった。ぜひ、この手の作品を次々に出してほしい。調べてみたら2005年に設立されたらしい。会社名、命名は石川九楊!

詩も小説も翻訳も、若い人たちが活躍する時代になったんだなと実感。そして、若い出版社も!

  • 2013.09.12 Thursday
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