2019年9月29日

何冊か本が出たので、ご案内です。

 

ヘザー・モリスの『アウシュヴィッツのタトゥー係』(双葉社)はタイトル通り、アウシュヴィッツに収容される人々にタトゥーをいれていた男の半生を描いた作品。ある意味、特権的な地位にあるため、ほかのユダヤ人よりも待遇はいいのだが、そのぶん、ほかの収容者たちがみないですむ惨状までみることになる。 第二次世界大戦が終わって73年、第一次世界大戦が終わって100年、「世界」は相変わらず「戦争」をしている。とくに21世紀に入ってからは、ある意味、終末的な様相を帯びてきている。だけど、多くの人々は案外と平気だ。おそらく、大戦前夜の世界の人々も案外と平気だったんだろうと思う。 アウシュヴィッツの狂気と悲劇が語り継がれるのは、そういう「案外と平気」な自分たちに不安を持つ人々がまだいるという証拠だろう。そういう人々の気持ちを大切にしたい。

 

『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティヴでない日々』という天才たちの偉業ではなく日常を綴ったノンフィクションを書いたメイソン・カリーは、この本が「欠陥本」だったことに気づく。取り上げた161人の天才のうち、女性が27人しかいないのだ。大いに反省して、今度は天才的な女性のみを取り上げて『天才たちの日課 女性編 自由な彼女たちの必ずしも自由でない日常』(フィルムアート社)を書いた。男性とちがって、女性に必ずしもやさしくない社会や家庭や男たちのなかで奮闘する女性たちの日常は前作の1.5倍ほどおもしろい。ほとんどの日常にドラマがあるので、たまにドラマのない日常が出てくると、逆にドラマティックに思えるほどだ。 まるで、前作を書く以前から、この「女性編」の企画を考えていたのではないかと思えるほど、よくできている。

 

『BOOKMARK 翻訳者による海外文学ブックガイド』(CCCメディアハウス)。HPでもおなじみの「BOOKMARK」の1号から12号までが単行本になりました! 訳者の方々に書いていただいた紹介文、ほぼ「BOOKMARK」掲載時と同じ方もいらっしゃれば、かなり書き直してくださった方もいらっしゃいます。その他、鼎談などもあり、楽しい海外文学の紹介書になっています。考えてみれば、これまでブックガイドはたくさんあるけど、訳者と装丁家によるブックガイドは案外なかったかも。

 

あわせて、先日お知らせしたように、出版記念のイベントがあります。

 

『翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK』(CCCメディアハウス)刊行記念

金原瑞人さん×三辺律子さん×オザワミカさん トーク&サイン会

日時:10月31日(木)19:00〜

場所:丸善・丸の内本店 3F日経セミナールーム 定員100名様 要整理券(電話予約可)

詳細はこちらを。

 

それから、「BOOKMARK」15号の記念イベントもあります。15号は「Be Short」、短編集の特集です。

 

今回は、まだまだ日本で紹介される機会の少ないタイ文学『観光』(ラッタウット・ラープチャルーンサップ ハヤカワepi文庫)を訳された古屋美登里さん、そして、発売から一週間で重版になった話題書『掃除婦のための手引き書』(ルシアン・ベルリン 講談社)の訳者岸本佐知子さんをお迎えして、短編の魅力を中心に、海外文学の面白さや翻訳にまつわる秘話などを語っていただこうと思います。

 

「BOOKMARK」15号刊行記念

古屋美登里 × 岸本佐知子 × 金原瑞人 × 三辺律子 トークイベント

日程2019年11月24日 (日)

時間14:30〜16:30 開場 14:00〜

料金1,550円(税込)定員110名様会場本店 大教室

詳細はこちらを。



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