2018年11月17日

12日にドゥマゴ賞授賞式があって、初めて出席。選考委員は大竹昭子、受賞作は九螺ささらの『神様の住所』(朝日出版社)。
この授賞式がほかの文学賞の授賞式とちがうのは、選考委員と受賞者の1時間以上にわたる対談があること。これがとてもおもしろかった。質問するほうも本気だし、答えるほうも本気だし、内容の濃さに驚いてしまった。並のイベントには見られない真剣さが漂っていて、言葉をめぐるやりとりがとてもスリリングだった。
ほとんどの文学賞の授賞式は、選考委員による選考経過の紹介と、受賞者の短い受賞の言葉で、あとは、主催者や来賓のほとんど記憶に残らない祝辞で終わるのだが、考えてみれば、こんなもったいないことはない。選考委員と受賞者による対談か鼎談を1時間くらいたっぷりきかせてはどうだろう。
ドゥマゴ賞授賞式、だれが受賞するかによりけりだけど、来年もいこうかなと思ってしまった。
九螺ささらについていえば、『神様の住所』も素晴らしいけど、第1歌集の『ゆめのほとり鳥』(書肆侃々房)がいい!
今日は余裕がないので、2首だけ紹介しておこう。

 

ひとすじに飛び込み台から落ちてゆく人の形をした午後の時間
手袋を植えた場所からさよならが生えてきてそよそよ戦@そよ@いでいる

 

ほかにもたくさん、紹介したい歌があるんだけど、それはそのうちまた。

長いこと、近況報告をさぼっていると、紹介したい本や映画がたまってしょうがない。
ちょうどいま公開されているマイケル・ムーアの『華氏119』がすごい。
痛烈なトランプ批判の映画なんだけど、攻撃の矛先はクリントンにも向けられる。そして、ぐだぐだいうばかで何もしないわれわれへも。いまはもう、行動あるのみ!
この映画は単なるトランプ批判の映画ではなくて、行動する人々もちゃんと取り上げている。たとえば、高校生を中心にした銃器規制を求める運動。このなかで、ひとりの高校生が、ある議員に向かって、「じゃあ、ライフル協会からはもう献金はもらわないんですか」と質問するところとか、思わず息を飲んでしまった。
あと、ある州のある郡(?)で起こった教員の待遇改善を求めるストライキが瞬く間に州全体に広がり、アメリカ中に広がっていくところを取材したところも素晴らしい。そうだ、教員もストをしろ! いまの日本の先生たちが、あんなに劣悪な条件と状況のもとでなんで黙っているのかがわからない。本当にいい教育を子どもたちに受けさせたいなら、教員数を2倍にして、給料を2倍にしろといいたい。
とにかく、『華氏119』は必見。

それで、ぼくの訳した本なんだけど、『リズムがみえる』まで紹介してそのあと、何冊か出てるんだけど、今日はここまで……と思ったけど、試写会でみた『家@うち@へ帰ろう』(パブロ・ソラルス監督)がとてもよかった。アルゼンチンにいるユダヤ人のおじいちゃんが、ひとり、親友に会おうとポーランドの生まれ故郷にもどる話……なんだけど、この88歳のおじいちゃんが、むちゃくちゃ頑固で、意固地で、そのうえ抜け目がないくせに、どこか抜けている。しょっぱなから、iPhoneをほしがる生意気な孫娘を出し抜いたつもりで、出し抜かれたりして。アルゼンチンからの飛行機のなかで、隣に座っている若者にいやがらせをして、ほかの席に移らせて、3席使って寝転がったのはいいものの、税関で、その若者が困っているのをみて仕方なく、助けるはめになったり。マドリッドの安ホテルに泊まって、金を盗まれて、そこに住んでいる、かつて勘当した娘に会いにいって、勘当したことを心から悔やんでいるのに、娘には「ああ、お金がほしかっただけなのね」とかいわれてしまうし。とにかく不器用なのだ、このおじいちゃんは。そもそも、陸路でポーランドまでいくというのに、ドイツは絶対に通りたくないとかごねるし。「ポーランド」という言葉さえ口にするのがいやで、話す相手には紙に書いてみせるし。困っているのを見かねて助けようとするドイツ人女性には、絶対に口をきこうとしないし。
このおじいちゃんの表情がいいのだ。字幕じゃなくて、吹き替えでみてみたい、おじいちゃんの表情をずっと追ってみてみたいと思わせる作品。



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