2017/2/24(金)

日本翻訳大賞、いよいよ、検討する作品が15にしぼられて、審査員5人がいま各6冊を読んでいるところ。
はっきりいって、分量、多過ぎ……なのに、なぜか、ほかの本も読んでしまう。


ずっと前から気になっていた吉村萬壱の『ボラード病』が文庫になったので、つい。
すごい。日本人必読! 
最後の最後まで暗くて、最後はこうなるんだろうなという予想のまま終わるんだけど、最後の1行は、胸が詰まってしまった。
いとうせいこうの解説もすごく力が入っていて、素晴らしい。

 

東日本大震災後の社会そのものの硬直、痙攣を小説でしか出来ない方法で描いた作者は、作品が「戦前」へ転がるように近づく一国の核心までつかむことになるのを果たして望んでいただろうか。そこまで「病」が進むのを。

 

さて、赧郡果蕕気鵑らのお知らせです。
毎年恒例の、はなやぐらの会。ぼくもいく予定です。

 

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梅も満開、春も本番となってまいりました。
いつもお世話になりましてありがとうございます。
このたびは、私、鶴澤寛也主催『第15回はなやぐらの会』のご案内をさせて頂きます。


今年もまた人間国宝・竹本駒之助お師匠様の胸をおかりして、
4月16日(日)13時より紀尾井小ホールにて開催いたします。

演目は『玉藻前曦袂 (たまものまえ あさひのたもと)』道春館の段です。
学生時代、後に入門した鶴澤寛八師匠の道春館を聴き、三味線の迫力と掛け声に
ものすごく興奮したことが、昨日のことのように思い出されます。
精進して良い舞台をつとめたいと思っております。

演奏前のお話は、おなじみ作家の橋本治さんです。
歌舞伎や文楽公演のパンフレットへの寄稿も続き、古典芸能ファンにも
ますます橋本ファンが増えています。
一昨年出版された『義太夫を聴こう』(河出書房新社)も大変評判がよく、
2016年度SLBA選定図書(高校生部門)に選ばれたそうです。

新年度のなにかとご多忙の時期とは存じますが、何卒ご高聴くださいますよう、
心よりお願い申し上げます。

 

鶴澤寛也
kanya-jogi@nifty.com

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2017/2/19(日)

昨日、「人文学の学校 KUNILABO 創立1周年記念イベント」に呼ばれて講演を。
KUNILABOというのは、一橋大学の若手教員が中心になって運営していて、理念は以下の通り。

 

「経済のグローバル化が進む中で、直接職業に結びつく教育が重んじられる傾向がありますが、職業生活においても家庭生活においても人間と人間の関係が基本である以上、人文学をつうじて人間について深く学ぶことは依然としてとても重要であると考えています。」

 

いくつかの講座を開いていて、2017年4月期では以下のようなものが準備されている。ほとんどが19時から、90分×4回。定員20名。料金8,000円。

 

ホルクハイマー&アドルノ著『啓蒙の弁証法』入門
日本美術における鳥の表象──正倉院から江戸琳派まで
バタイユ入門
文学理論入門
革命前夜のパリ──「世論」誕生からみる権力イメージの変化
ラテン語に触れてみる
温泉地から見る近代日本
ヘーゲル『精神現象学』「意識章」を読む(これだけ8回、12,000円。19時半から)

 

ちょっと専門的な領域への入門といった感じの講座で面白そう。なにより、若手の教員がこういう形で国立で、大学人と市民が共に学び合う場を作ったというのが素晴らしい。HPで詳しく紹介されているので、興味のある方はぜひ。

 

ここに呼ばれて講演をしたのだが、そのあと一橋大学の新聞部の取材があって、そのとき部が発行している冊子「Hit-You」をもらった。これが学生視点で編集された、いい感じの冊子で、とくに「大西さん、ぼくたち「貧困」なんですか?」という取材記事がおもしろい。

 

『すぐそばにある「貧困」』を書いた大西連へのインタビュー記事。本人が高校を卒業して、飲み屋やバーで接客のバイトを始め、そのうち偶然、炊き出しのボランティアに誘われていって、やがて「自立生活サポートセンターもやい」(生活困窮者の支援活動を行っているNPO)の2代目理事長になる経緯も興味深い。次のような発言を読んで、ほんとにそうだよなと思った。

 

・優秀な子ほど選択肢って少ないんだよね。プライドもあるし、例えばコンビニのバイトで一生食っていくって選択肢はないわけ。文系・理系すら選べなかった僕は、とりあえず大学には行かずに、自分に何ができるか、自分の存在をなにもない状態で見ようと思ったの。

 

・「自立」って別に1人で生きていることじゃなくて、むしろいろんな依存先を持っていて、そのつながりを自らの主体性で作っていける状態だと考えています。

 

・逆に質問するけど、将来の生活に不安感じたりする?

 

──不安ですね。親の介護で働けなくなったらどうしようとか、ブラック企業でこきつかわれたら、とか。

 

あなたたちが不安だったら、残りの人たちはどうしたらいいわけ? だってさ、一橋の学生って、客観的にはエリートなわけじゃん。その人たちが不安を抱えているってことは、これはかなり深刻だよね。

 

・価値観と現実社会が変化するスピードが違う中でどう対応するかが大事なんだけど、せめてもうひとつ心の置き所、違う価値観を持っているだけでも変わってくるはず。「これをしないと生きていけない」という状態はよくない。

 

この冊子、その他、いかにも大学生っぽい、かわいい記事もあり、じつによくできている。
『すぐそばにある「貧困」』、買いました。


「BOOKMARK」の共同編集者、三辺律子さんが朝日カルチャーセンターで「児童文学の歴史と現在&翻訳ワークショップ」を開きます。前半は講義、後半は翻訳のワークショップという2部構成。
3月20日(月) 13:30-16:30
児童文学に興味のある方、翻訳に興味のある方に、お勧めです。
詳細は朝カルのHPを。


2017/2/13(月)

ひと冬に2度、風邪をひくというのがこれまでの約束だったのだが、なんと、この冬、3度めの風邪をひいてしまった。
去年、40年ぶりに、インフルエンザの予防接種をしたのが原因かもしれない。やっぱり、今年はやめよう。


しかし、風邪のひきかたが、あきれるほど律儀で、
1回目は昨年10月、熱が出て倒れる……という風邪で、授業を1回休んで回復。
2回目は昨年の大晦日、これも熱が出て倒れる……という風邪で、ほぼ2日で完治。
3回目は2月5日の入試監督が終わった次の日。これがいちばんやっかいな喉風邪だった。ところが2月12日の入試監督の日には、なんとか小康状態になって、マスクをして東小金井までいったのだった。


というわけで、大学関係にはほとんど迷惑をかけることはなかった。しかし、ここまで律儀だと、休みがなければ風邪をひかないのではないかという気がしてくる。


それにしても持病の喉風邪はつらい。熱が出る風邪は、せいぜい2日か3日で完治するのだが、喉風邪のほうは長引くし、なにより、つらい。喉の痛みがずっと続くし、鼻水は出てティッシュが大量に消費され、鼻の下がひりひりしてくるし、とくにこの二重苦が続くと、もうこのまま死んでもいいような気がしてくる。


こんなことをいうと、たかが風邪で、といわれそうだが、ほぼいつも健康で、ほとんど病気をしないし、熱も出ないので、この程度の不調でも異様に体に響く。

 

喉風邪撃退の良薬はないものだろうか。
ちなみに、風邪をひかないという選択肢は、ぼくにはなさそうである。

 

そういえば、最果タヒの『グッドモーニング』が新潮文庫で出た!
中原中也賞を受賞した詩集『グッドモーニング』の文庫版だが、「9詩編を新規収録」!
めでたい!

 

なあ
きみ
ゆっくりと津波がきて
沈んでしまったら
あの
赤い花はてんてんのまま
浮かび上がって地面からひきはがされる
そうして
わたしはそいつが枯れるのを
こんな山奥で見ていなければならないのか。
(「きみを呪う」より)

 


2017/2/6(月)

2017/1/23の近況報告で予告した「洋書の森」(鈴木豊雄さん作成)の金原瑞人訳書リスト、いよいよ公開です。


これによると、1月に出たジョン・グリーンの『アラスカを追いかけて』をふくめ、495冊。

 

このあと、4月上旬にトーベン・クールマンの『アームストロング』(『リンドバーグ』の続編)が出て、そのあとカート・ヴォネガットの『国のない男』の文庫が出る予定。そのあと、サマセット・モームの『アシェンデン』など。

 

今年中に500冊突破かな。

 

このHPを作って管理してくれているスタッフをふくめ、優秀な「編集さん、翻訳家さん、教え子、協力者」に心からの感謝を!

 

さて、訳書リストですが
ここをクリックしてください。

金原瑞人訳書リスト

 

kanehara_booklist_170206をダウンロードした方へ

 リストにいくつか誤りがありました。

 訂正とともにお詫び申し上げます。

 上記をクリックすると、最新版のkanehara_booklist_170207をダウンロードできるようにしました。

 ぜひご活用くださいませ。

 (HPスタッフ)


2017/2/4(土)

2月2日(木)、韓国映画『お嬢さん』の試写会に。
原作はサラ・ウォーターズの『荊の城』。
監督は『オールド・ボーイ』『イノセント・ガーデン』のパク・チャヌク。
長大な原作を鮮やかにカットして、東洋的エロスを加味して練り上げた作品。
なにより、韓国的べたな迫力があいまって、異様な効果を上げている。

 

ところで、寛也さんからです。

 

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立春大吉

梅も咲き、風はいまだ冷たいとはいえ春の訪れを感じる頃となりました。
いつもお世話になりありがとうございます。

1月は「弓弦葉の会」「定例公演」も大入り、久留米の阿古屋もソルドアウト、おかげさまで充実した舞台をつとめさせていただきました。
ICUの公開講座も大好評で、来年度もあるかも?
2月1日の伊藤ヨタロウバースデイライブは舞台も客席もノリノリの4時間で、私達の演奏の時はじっと聴き入って下さり評判も上々でした。

・2月5日(日)【第15回寛也一門おさらい会】三味線の稽古に来ている素人さんのおさらい会、皆さん必死に稽古中。太夫さんはプロですので聴き応えがあります。
・2月18日(土)【乙女文楽】 人形町よし梅イベント、残席ほんとにわずか。お食事付きは完売だそうです。
・2月20日(月)【女流義太夫2月公演 降り積もる雪と哀しみと】袖萩祭文の奥、がんがん弾きまくります。

絶賛前売中
・3月1日(水)【第2回のうじょぎろう】 好評につき今年もあります。指定席ですのでお早目に。
・4月16日(日)【第15回はなやぐらの会】 今回も人間国宝竹本駒之助師匠、橋本治さんがご出演下さいます。なんと団体さんがふた組ご予約、売れ行き良好です!

★詳細はこちらのカレンダーよりご覧下さい→http://tsuruzawakanya.com/schedule

チケットのご用命もこちらのメールでおうけしておりますので、どうぞお誘いあわせてのおはこびを、よろしくお願いいたします。
またまたインフルエンザも復活しており、花粉も襲来。皆様くれぐれもご自愛くださいませ。

鶴澤寛也
http://tsuruzawakanya.com/
Facebook、Twitterも「鶴澤寛也」でやっております♪

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