2019年3月20日

3月20日(水)

いま、クラウドファンディングで参加者募集中の、スーザン・プライスの『ゴーストソング』、第1章が読めます……とか他人事のように書いてますが、ぼくが訳してます。共訳ではなく、金原訳なので、100%ぼくの文体です。もともとの文体がかなり濃い感じなので(『ゴーストドラム』を読んだかたはおわかりかと思いますが、あれをさらに濃くした感じ)、自然とこんなふうになってしまいました。訳していて、本当に気持ちのいい文体です。
https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/2652/activities/7463


2019年3月19日

2019年3月19日

3月22日(金)19時から青山ブックセンターで、深緑野分さんとの対談があります。まだチケット余ってます。ぜひ、遊びにきてください。
http://www.aoyamabc.jp/event/ghost-series/


ニール・ゲイマンの『北欧神話』、好評のようで(たぶん、ゲームのせいもあり)、早くも増刷が決まったところです。
喜んでいたら、とてもうれしい感想がきたのでご紹介を。送ってくださった方からは、「匿名で」とのことなので。


『北欧神話』の主人公はロキで、ロキの孤独を書いた話だと思いました。
冒頭の神々の紹介に、「そんなロキを神々が受けいれているのは〜」とありますが、『北欧神話』において、アース神族の神々は、最初から最後まで、一度たりとも、ロキを受けいれていないと思います。
神々は、都合のいいときだけロキの知性や力を利用して、ひとたび都合が悪くなれば、すべての責任を彼ひとりに押しつけ、あっさりと切り捨てます。それは、巨人の子であるロキが、アース神族にとってよそ者であることと無関係ではない気がするのです。
ロキの「悪ふざけ」の根底には、そうした神々のへの怒りが流れていると思います。
それでもロキが、アース神族へストレートに怒りをぶつけないのは、より深い本音では、彼らに受けいれられたいと願っているからでしょう。だからこそ、あれだけ馬鹿にされ、ひどい目にあわされても、神々に対して、アドバイスやよい道具をもたらしたりするのだと思います。役に立つ存在として認められれば、いつかは共同体の一員になれるのではという期待があるのでしょうね。
でも人は(この場合は神々ですが)、差別している相手のことは、どれほど役に立ったとしても、ただ便利と思うだけで、決して共同体に入れようとはしないものです。むしろ差別をすることで、相手が仲間に入れてもらいたい一心で、ますます無償でよく働いてくれるのを、無意識に利用するものではないでしょうか。
アース神族の神々は、ロキへのこうした差別が、いつか復讐として自分たちに返ってくるのを予期していて、それがラグナロクの予知夢の形で表れているのだと思います。後にそれは現実化するわけですが。
ロキがアースガルズの外に家庭をつくったのは、彼が孤独だからではないでしょうか。アングルボザは、アース神族ではなく巨人です。そして、自分の手でつくった家族なら、自分が疎外されることはありません。子どもたちが連れ去られても、ロキの死を予知しても、ただ静かな目をしている「賢い女」アングルボザは、ロキの孤独をよく知っていたのでしょう。
そんなロキだったからこそ、バルドルの盲目の弟ホズの孤独を感知することができたのだろうとも思います。相手のほんのわずかな言動から、共同体からの疎外を察知する経験を、ロキもホズも子どものころからずっと重ねていたんでしょうね。
また、ロキの5人の子どもたちの中で、ただひとり破滅しなかったヘルのことも考えてしまいます。彼女が他の子どもたちとの最大の違いは、アース神族に仕事(=共同体における居場所)をもらったことと、女性であったことです。容姿のために、「あからさまに嫌な顔」をされて育った彼女は、世界や人間や神々の理不尽さをよくわかっていたのだと思います。
また、ヘルのいる死者の国は、戦死以外の死に方をした死者が来るところです。戦死は覚悟の上の死ですが、その他の死はいわば理不尽な死です。いろいろな理不尽を見てきたヘルは、父や兄弟の受けた理不尽な仕打ちを静かに見つめることができて、生きながらえることができたのかもしれません。


2019年3月12日

2019年3月12日
「小説野性時代」の今月号に清水潔の「日本はなぜ焦土と化したのか」という読み切りノンフィクションが載っている。日本翻訳大賞の候補作をまだ読み終えていないというのに、つい読みふけってしまった。
東京大空襲の焼夷弾による無差別・絨毯爆撃に関しては、アメリカを責めたくなるし、責めて当然だと思う。ヴォネガットなら、ドレスデンの大空襲をあげるだろう。
しかし、このノンフィクションを読むと、東京大空襲は日本が自ら招いたものであるということが恐ろしいほどはっきりとわかってしまう。
東京大空襲を指揮したのはアメリカ軍のカーチス・エマーソン・ルメイだが、彼が「極東の家屋の主要建材である木と紙が、焼夷弾の炎でたちまち燃えて大火災を生み、非常な爆撃効果をもたらす」ことを教えたのは、日本軍による重慶爆撃だった。
じつは数年前、大学の仕事で重慶にいったことがあって、そのとき大防空壕があるのを知った。第2次世界大戦中、蒋介石が重慶まで逃げのびて、それを日本軍が攻略しようとしたということは知っていたものの、具体的な内容はまったく知らなかった。
「天然の要塞」である重慶を攻めあぐねた日本軍は、これを焼夷弾を使った爆撃で攻め落とそうとする。1939年5月、「日本軍は重慶の市街地に対して集中的な爆撃を行う。」いうまでもなく無差別爆撃だ。そしてさらに拡大していく。
最後のほうに、早乙女勝元が戦後、重慶を訪れて、日本軍が何をしたのかを知ったときの言葉が紹介されている。東京大空襲の原因は日中戦争までさかのぼる、「都市無差別爆撃というのは、日本から先に始めたものというのは痛切にわかりましたね。それがこちらに跳ね返ってきたわけです。ブーメランのように」
このノンフィクションでいちばん衝撃的だったのは、「少年倶楽部」1941年8月号に載った「胸もすく重慶の大爆撃」という記事だ。


戦地の兵隊さんたちは、陸に海に空に、次次と大作戦を行ひ、いたるところで蒋介石の軍隊をたたきつぶす一方、蒋介石のゐる重慶へ、矢つぎばやの爆撃を加へて、重慶の人々をふるひあがらせてゐます。
ことに、六月五日の夜から六日の朝にかけての爆撃では、大防空壕ににげこんだ人々までが、七百名以上も生き埋めになったために、蒋介石をうらみ、和平を願う人たちが、だんだん多くなつてきました。


戦時下では、子どもの本や雑誌まで、こうなってしまうんだと思うと……


2019年3月7日

2019年3月7日
2月17日、青山ブックセンターで「BOOKMARK」13号(グラフィックノベル特集)刊行記念のイベントを行いました。その第2弾的イベントを、池袋の梟書茶房さんで行うことになりました。
今回は、花伝社の山口侑子さんが中心になってお話ししていただく予定です。このところ、花伝社さんはグラフィックノベルに力を入れていて次々に素晴らしい作品が出ています。昨年は『マッドジャーマンズ』が日本翻訳大賞の候補にあがりました。そのなかの『ゴッホ 最後の3年』を話のきっかけにして、いろんな話がうかがえそうです。そういえば、新刊の『禁断の果実 女性の身体と性のタブー』も快作です。
ぜひ、遊びにきてください。
詳細は以下の通りです。


会 場
本と珈琲 梟書茶房
(東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola 池袋4F )
2019年は" ゴッホ" が来る?!
グラフィックノベルで読む
ゴッホの世界
※写真とイラストはイメージです。
SPRING SPECIAL !
近年売上が上昇しているグラフィックノベル(=海外コミック)市場。
今回梟書茶房では、オランダのグラフィック・ノベル『ゴッホ-最後の3年-』を
フィーチャーしてイラスト展を開催。
また展示に合わせて花伝社で編集担当・山口侑紀さんと日本翻訳の第一人者である
金原瑞人教授を招いたトークイベントを開催します。
当日の主な内容
〈 応募方法 〉
・店頭:梟書茶房 レジ(定休日なし)  ・電話:梟書茶房 TEL.03-3971-1020(10:30〜22:00)
・メール:6010001@doutor.co.jp 
*メール件名「トークイベント参加」、本文に「氏名」「電話番号」を入れて送信ください。お申込み後、2 日以内に受付確認メールが
 届きます。届かない場合は、お手数ですが、梟書茶房(TEL. 03-3971-1020)までご連絡ください。
・お支払い方法:当日、お店のレジにて。 ・お問い合わせ:梟書茶房 TEL. 03-3971-1020( 10:30〜22:00)
〈 日 時 〉
2019年3 月28 日(木)
19:00 〜 20:30( 開場 18:30〜)


2019年3月4日


1日から3日までゼミ合宿で八王子セミナーハウス。
今回は卒論をそのまま提出している学生が3名(どれも300枚以上)いるうえに、同じくらいの作品がもうひとつ、あと中編もかなりあって、四苦八苦。いつもはほぼ余裕で読み終えるのだが、さすがにぎりぎりまでかかってしまい、結局、2日の合評会が終わったのが12時。そのあとすぐに打ち上げ。
教員が酒好きなのがようやく浸透したらしく、このところ、おいしいお酒が集まるようになってきた。今回も、田酒、飛鶴(知る人ぞ知る上総のお酒で、「飛鶴 本醸造 無濾過 生原酒」は年に1升瓶を何本か取り寄せることにしている)、 F&Mのシャンパン、その他、ワインも赤、白、青まで。NIKKAの古いのもあった。あと森伊蔵も4合瓶が1本。
なんだ、ゼミ合宿の報告は酒だけかと思われるといやなので、提出された作品について簡単に……と思ったけど、今月、来月と異様に忙しくて(日本翻訳大賞の本読みのほか、翻訳の〆切が〇本、その他、イベントも)その余裕がない。
そのかわり、角谷くんからのメールを。


子供達に人気のグラフィックノベル。お下劣な内容のシリーズ Dog Man が大人気ですが、そういうのは少なめにして、歴史、伝記、古典のグラフィックノベルを増やしたいと思っています。シェイクスピアは、基本的に小学生向きなのはほとんどないのですが、このロミオとジュリエットはInterest Level 5 - 8(年生)。(貸し出すのは3年生以上。)早速購入。読んでいくと、こんな絵が。ロミオが左手でジュリエットのドレスを脱がしにかかってます。個人的には大丈夫。でも、ここはアメリカ。図書室に置いてもいいか、一応校長先生に相談。校長先生は「教育委員会でオッケーが出ている本である以上、あなたに任せます」。学校でボランティアしていて親しい保護者に聞くと「大丈夫」と「絶対ダメ」が半分半分。他の先生に聞いても、これまた半分半分。そのくせ、どっちの意見の人も、僕が指をさすまで、ロミオの左手に気付かないことも。「絶対ダメ」派は、「まだ小学生には早すぎるから」。「大丈夫」派は「子供達はYouTubeやテレビで、これ以上のものを見ているので、この程度ならどうってことない。大体、ここフリーモントの性教育の内容を知っているでしょ?」。(この性教育はメディアにも取り上げられたほどの騒動で、内容がえげつない。4年生から性教育が始まるけど、徐々に「身体に変化が起こりますよ」から始めるのではなく、いきなり本題に。まだサンタさん信じてる子供にオーラルやアナルの説明するか?)To have (it in the library) or not to have, that is the question. ですよ。


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