2020年4月5日

 『天盆』で見事なデビューを飾った王城夕紀の次作『マレ・サカチのたったひとつの贈物』がまた素晴らしかった。いまでも、あちこちの場面や情景や科白を覚えている。
 この作品の文庫版の解説でも書いたのだが、中年の医師の言葉はいまでもたまに思い出す。とくにこんな状況のときには。
解説からそこを引用しておこう。

  

 88章の野戦病院における中年の医師と若い女医の会話は切なく、心を打つ。
「ウィルスの進化は、手ごわいよ……つまり、同一に抑制することと、突然変異に拡散することがセットになっているシステムなんだ。これはね、手ごわいよ。奴らは偶然まで使って攻めてくる。俺たちはそれを全部迎撃しなきゃいけない。圧倒的不利だ」この言葉に、女医は「じゃあ、さっさと国に帰れ」と言い放って背を向ける。残された中年医師は、せっかちだなあと顔をしかめ、こういう。「俺は負け戦が好きなんだよ。負け戦こそ、本当の戦だ。だから医者になったんじゃないか」

 

 まだ読んでいない方はぜひ!

 

 さて、カリフォルニア事情。角谷くんのぼやきです。

 

 昨日、CDCが全国民は外出時にはマスクを着用するように、とのガイドラインを出しました。医療用のは医療関係者のために残しておくように、とのことで、布マスク。ロサンジェルスの方では一昨日辺りにマスク着用要請が出ていましたが。アレルギーに苦しんでも、風邪をひいていても、マスクをするという習慣のなかった国民がマスクをする光景には違和感を感じる。最も、僕はゴミ出し、ガレージでの郵便のチェック・洗濯室・素振り以外での外出はなく、出歩いている人も見かけないので、テレビで見るだけですが。それに伴い、すでにベイエリアでニュースになったものだけで、マスクを着用した強盗犯による事件が二件・・・。
 ガイドラインを出したのと同じ大統領の会見で、大統領は「僕は着けない。ガイドラインで命令じゃあないし」と。会見でも6フィート以上開ける「ソーシャル・ディスタンス」無視で並んで出てくるし。一昨日なんか、マスクに関しての質問が記者から出た時に「マスクをしたくても、マスクがない人は、スカーフでも(口の周りに)巻いてりゃあいいんじゃないのか。スカーフはいいよ。スカーフの方が良いんだ。厚いから」と酔っ払いが考えもなしに思い浮かんだことを口に出すように答えていた。エキスパートが後ろに立っているのに。恥ずかしいったりゃありゃしない。もう、この大統領の愚痴を言えば、呆れるやら、腹が立つやら、情けなくなるやら。ブッシュ二期目、トランプ当選でほとほとアメリカ人(全体的に見た)の無能さ感じたけど、結局、変わっていない。このコロナ騒動の外出禁止の"New Normal"が終われば、Old Normalに戻ってしまうんやろう。New New Normalにせなアカンのに・・・。民主党候補の座をバーニーが勝ち取り、大統領になれば期待はできるけど、バイデンになりそうやし、バイデンじゃあトランプには勝てんやろうなぁ・・・。


2020年4月4日

 ポプラ社の新刊『モノのねだん事典』が楽しい。
 帯には、「キリンのねだんは、ライオンの約40倍」とある。
 タイトル通り、いろんな「モノ」の値段が紹介してある。たとえば、回転寿司のお店の設備一式(注文用タッチパネル、すし飯を握るロボット、ベルトコンベアなど)約1億円。おいおい、それで元が取れるのかとききたくなるけど、取れるらしい。
 ほかにも、廃校になった学校の値段とか。
 体育館で一番高いものって? 90万円のものらしい。
 しかし、この本で何よりびっくりしたのは、「オリンピック招致の立候補にかかるお金」だ。海外に向けて宣伝するための費用が40億9800万円。国内の誘致活動を盛り上げるためのPR費用が、37億500万円。立候補の手続きや、そのために必要なファイルを作るのに11億円以上。立候補の手続きが6300万円。などなど。
 合計、89億1200万円。これらのお金は落選してももどってこない!
 さらに、開催費は1兆円を超える。
 これを帯にすればよかったのにと思う……くらいに、おもしろい本です。
 


2020年4月3日

エチオピアで文化人類学の研究をしながら、大学で日本語を教えている教え子(厳密にいうとちがうけど)からメールがきた。


  ご無事でしょうか?いかがお過ごしでしょうか?
私は、エチオピアにいます。エチオピアでも大学は休講、国境は封鎖、省庁は閉鎖、町と町の行き来や町と村落の行き来の禁止、市場の禁止などなど、が起こっています。日に日に感染者が発見されて、いま、26人だそうですが、もっといると思います。わたしの分析ではあと、2、3週間後にエチオピアが地獄になるかならないかの分かれ目になると思っています。
 私は家に籠城して、本を書いています。毎日がとても楽しいです。今度はがちがちの専門書ではなくて、いろいろな人が面白く読める本にしたいです。
 先生もどうか、お体にお気をつけください。

 

  それにしても、エチオピア、役所も閉まる?! 


2020年4月1日

 いよいよ4月。日本の大学でも、しばらくオンライン授業が行われることになりそうですが、いったい、どれくらいの教員がやれるのか不安です。また、大学によってはZoomの使用を奨励しているところもあります。アメリカでも使用している学校、大学が多いようです。
 これに関して、サンノゼの角谷くんからメールを紹介します。じつにありがたいアドバイスです。

 

 他校のライブラリアンからきたZoom使用時の注意点。
 
If you haven't heard about the growing phenomenon of "zoombombing," it's a good thing to be aware of, as it's becoming a growing problem with more new users of Zoom due to the coronavirus shutdown, and the same amount of bored internet trolls at home as we've always had. :( Folks at my school have already had trouble with their classes being corrupted by these jerks. Basically, people (mostly strangers, NOT your own kids) are crashing Zoom sessions, mostly using the "share screen" function to share pornography, racist material, or other inappropriate material with a class or group, but also other kinds of shenanigans like changing the background behind them (which can be a fun feature--I attended a meeting in the Hogwarts library last week!;) to something inappropriate.
 
There are ways to fight back, mostly by 1. setting your settings restrictively before you start a meeting (ex: you have to approve everyone before they can enter, turn off screen sharing, set the settings so that if you kick someone out they can't re-join, turn off the chat, etc), and  2. DON'T post the link or password to your Zoom meeting on any public-facing web page.
 
Zoom is a great resource and super easy to use, and I'm not trying to scare anybody--I have friends using this for preschool to 5th grade and having a great experience, so it can be great for all of us too. It just pays to be smart, as we are about everything else we do online. 

 


2020年3月28日

 自民党の「お肉券」「お魚券」に批判が集中している。本好きのぼくとしては、こういうときこそ家で静かに本を読んでほしいと思うので「図書券」を配ってほしい。
 そういえば、3月26日の朝日の朝刊の「経済気象台」というコラムも、本を読もうという内容だった。鴻上尚史の「『空気』を読んでも従わない」と太宰治の「人間失格」を取り上げて、「世間」とは何か、なぜ世間や社会に従わなくてはならないのか、といったことについて書かれている。中高生にはちょうどいい内容でとても好感が持てるのだが、最後の段落がまずい!

 

 「ヒトは、本を読まねばサルである。」宝島社がかつて朝日新聞に掲載した広告コピーだ。本は社会人になるあなたの強い味方。本を読もう!

 

 本好きの人間からみて、これはない。本を読んでいる人はよくわかっているのだ。
「本を読んでいてもサル以下の人間はたくさんいる」
 そもそも去年、朝日新聞の記事「読書家ヒトラーの教訓 いま、紙の本を育てる気概あるか」にこうある。

 

 任期途中で辞任した前東京都知事の舛添要一(70)の事務所、半地下の書庫には、それでも英、独、仏語を含め、本がぎっしり詰まっている。特注の本棚が並び、部屋には小さなテーブルを置くのがやっと。「蔵書は1万6千冊くらいに減った。ちょうどヒトラーの蔵書と同じ数。これも天の配剤かなあ」と笑わせた。笑えないのは、「ヒトラーも大読書家だった」という事実だ。

 

 本を読むから賢いというのは、クリスチャンだからいい人だというのと同じで、事実無根である。

 

「うちの大統領はクリスチャンだって? アドルフ・ヒトラーもそうだった。」『国のない男』(カート・ヴォネガット)より。【このときのアメリカ大統領はトランプではなく、ブッシュ】

 

 そもそも、文字を持たない文明だってあったし、いまでもある。しかし彼らの文明が文字文化を誇る文明より劣っているわけではないということは、多くの思想家が指摘している。
 ちょっと話がずれてしまったけど、本好きとしていいたいのは、本を特権化するのはやめてほしいということだ。本嫌いが増えるだけなんだから。
 本だけが、あなたの強い味方ではないのだ。音楽だってアートだって強い味方なのだ。
 そう、義太夫も歌舞伎も強い味方なのだ。
 というわけで、赧郡果蕕気鵑らの残念なお知らせを。

 

*****************

【第18回 はなやぐらの会 中止のお知らせ】
先だって開催決定のお知らせをしたばかりですが、
都知事会見など、コロナによる諸事情に鑑みまして、再度師匠と相談した結果、
急ではありますが、4月5日「第18回 はなやぐらの会」を中止するはこびとなりました。

この状況の中、開催を応援し、予定を組んで下さっていたみなさまには本当に申し訳ない限りですが、
どうかお許し下さいませ。
今回の橋本さんを偲ぶ会は来年に持ち越し、三回忌追善の会にできればと思っております。
こちらは詳細未定ですので、あらためてご連絡いたします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

チケット払い戻しにつきましては、お手数をおかけしますが、
◆紀尾井チケットセンターよりお求めの方→チケットセンターから個別に連絡があるとのことです。しばしお待ち下さいませ。
◆出演者よりお求めの方→出演者にお問い合わせ下さい。
◆演奏会ロビーなどでお求めの方→義太夫協会までご連絡お願いいたします。03-6265-1880

事態の早い収束と、みなさまのご健康を心よりお祈り申し上げます。

とりいそぎお知らせまで。

鶴澤寛也
http://tsuruzawakanya.com/


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