2020年7月15日

 〈ワシントン・ポスト〉でこんな記事を見つけたので、アメリカの角谷くんに送ったところ。

 

“Hi, my name is Josh and I live in North Carolina and I voted for Donald Trump - my bad, fam,” he begins, before explaining that this November will mark the first time “ever, ever” that he will vote for a Democrat. “If Joe Biden drops out and the DNC runs a tomato can, I will vote for the tomato can, because I believe the tomato can will do less harm than our current president.”

(前回はトランプに入れたけど、今度は絶対に入れない! もしバイデンが途中で下りて、米国民主党全国委員会がトマトの缶詰を代わりに立てたら、こっちに入れる。こっちのほうがまだましだ。)

 

 こんな返信が。

 

 トランプが当選した直後に、トランプに投票した3家族にインタビューをした人がいました。白人・黒人・元軍人。その人が先月、同じ家族に再びインタビュー。3家族とも、思っていたのと違う、人種差別問題・コロナへの対策に不満を示しているものの、みんなもう一度トランプに入れると言ってました。暴露本を書いたジョン・ボルトンも「民主党には入れない」って言ってます。何なんでしょう、この共和党・民主党へのこだわりは。日本でも「何が何でも自民党」とか、30年ほど前の社会党のように「自民党は自民党やから反対」って人もいるけど。

 こないだCNNで「1968」ってドキュメンタリーをやっていました。その年の大統領選でニクソンが勝ったんやけど、「選挙人制度は問題が多く、この大統領選が選挙人制度の最後になっても不思議ではない」と言っていた。52年後の今、まだ選挙人制度は使われていて、だからトランプ再選の可能性も十分にあると言われています。(アリゾナ州とテキサス州ではバイデンがリード。フロリダ州ではタイ。テキサス州では共和党が勝つのは当たり前やったのに、民主党にリードを許すのはありえないことであったらしい。)

 今、学校再開を巡ってごちゃごちゃしてます。と言うか、案の定、トップが筋の通らないことを言っているだけ。フリーモントでは、まだ正式決定ではなく詳細は変わる可能性大ですが、オンライン授業で再開予定。学校に行く授業 and/or ハイブリッド(週に何日か学校に行って残りはオンライン)にするかは、アラメダ郡で新感染者数ゼロが7日間続いたら考えるらしいけど、ここは変わるやろう、と言われている。抗体があっても、それが数週間しか持たないと言われているし、ワクチンが出来ても、それが一般に接種できるようになるまでどのくらいかかるか分からない上に有効期間も疑問。それこそ「ウィズ・コロナ」になるかもしれないので、7日間連続ゼロは非現実的。図書室用にeBooksを仕入れなければ。でも、これも、学校ごとに買わなければいけないのか、それともFUSDがまとめて買ってくれるのか? それが分からないと、下手に自分で買えないし。

 

 アメリカ、やっぱり一筋縄ではいかない。もしかして、トランプ再選?! 可能性なくもないのかなあ。  


2020年7月11日

 

 数日前にお知らせした、『ドリトル先生』フェアに関して、こんな連絡がきました。

【今回のフェアを梅田店、横浜店、笹塚店でも実施する事になりました。(※開催時間と規模は各店毎に異なります。)】

 というわけで、梅田でも横浜でも笹塚でも見られます。

 ぜひ!  

 


2020年7月10日


 じつはいま大学の「英語講読C」という授業で、ジャズの歴史を英語で読んでいるんだけど、それにはいつも原稿用紙で5枚から10枚ほどの、ぼくがまとめたパートごとの概説と参考の曲が指示してある。学生は英語の指示された部分の訳と、これを読んでの感想を提出することになっている。この原稿を書くのが結構、大変なのだ。が、またいろんな発見があって楽しい。
 春学期の12回目が「ジャズ・ヴォーカル」で13回目が「ビリー・ホリデイ」だったのだが、なんと、いまビリー・ホリデイの伝記映画が制作進行中で、早ければ、今年中に配給になるかもしれない! という発見があった。主演はアンドラ・デイ。HolidayとDayで韻を踏んでる? というつまらない洒落は置いておいて、うれしい。
 それにしても、ビリー・ホリデイがコンサートなどの最後によく歌ったといわれる「奇妙な果実」はきくのがつらい。
 そういえば、いま使っているテキストに、Contrary to the title of her book, she seldom sang the blues.という1文がある。訳すと、「自著の題名とちがって、彼女はほとんどブルーズを歌っていない。」自著というのは彼女の自伝のことで、原題はLady Sings the Blues。これを訳したのは、昭和のジャズ評論家、油井正一と大橋巨泉。初版はたしか晶文社だったと思う。そしてタイトルは『奇妙な果実』だった。日本語版を読んで、あとで原題をみて、うまいなあと思ったのをよく覚えている。
 じつは、ぼくが初めて読んだジャズの入門書が油井正一のものだった。『ジャズの歴史 半世紀の内幕』だ。表紙もよく覚えている。たしか増訂版だったので、読んだのはおそらく高校の頃だと思う。そのなかで、ベニー・グッドマンが来日したときの演奏をきいて、がっかりしたと書いてあったのもよく覚えている(たしか、小鳥のさえずりみたいになってしまった、というふうな表現だった)。
 油井正一は1940年頃、つまり戦時中からジャズのレコードをきいていたという筋金入りのジャズファンで、戦後ジャズ評論を始めた人。
 もうずいぶん昔の話になるが、朝日新聞で「ヤングアダルト招待席」という書評を担当していたとき、油井正一の『生きているジャズ史』という本をふと本屋で見かけて読んだら、これがおもしろい。というわけで、書評に取り上げたのもよく覚えている(「よく覚えている」が頻発するのは、覚えてられないことが増えた証拠なのだが)。

 


 たしかにいま読み返せば、昔の日本のジャズ評論家の書いたものなので、あちこちつつけばぼろが出るのは当然だが、戦時中からジャズをききながら、独学でジャズ関係の原書を読みあさっていた日本人の証言はいまでも新鮮だ。ぼくも中学の時にマイルズ・デイヴィスの「枯葉」をきかなかったら、高校のときに『ジャズの歴史』を読まなかったら、今頃、法政大学の「英語講読C」のテキストでジャズやブルーズ関係の本を取りあげることもなかったと思う。
 本はすごいなと思うのだった。
 


2020年7月9日

 このところKADOKAWAからニール・ゲイマンの作品が立て続けに文庫で出るようになった。テレビドラマ化されたのがきっかけで、まず『グッド・オーメンズ 上下』が、それに続いて、『壊れやすいもの』が文庫化。そう、『墓場の少年』もだ。
 そして、『アメリカン・ゴッズ 上下』!
 ゲイマンの最高傑作といっていいと思う。
 文庫化にあたって、共訳者の野沢佳織さんがずいぶん手を入れてくれたので、これが決定版!
 まさにゲイマンの魅力を凝縮したような作品です。ぜひ!

 


2020年7月6日

というわけで、紀伊國屋書店国分寺店でのフェアで選んだ本のご紹介です。そのあとに、選んだ理由もつけています。

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★企画案1 【金原先生、〇〇へ行く】
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そこで、例年の夏休みよりも家に時間が増えるであろう今年の夏休みのお供に「遠くに行った気分になる本」(海外でも、宇宙でも、異世界でも)を選書を希望します。
→『ドリトル先生、アフリカへ行く』と関連づけて展開できると思いました。
(企画:紀伊國屋書店国分寺店・店長 桐生)

『渚にて』ネヴィル・シュート
『火星年代記』レイ・ブラッドベリ
『火星の人』アンディ・ウィアー
『わたしの本当の子どもたち』ジョー・ウォルトン

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★企画案2 【教えて、金原先生】
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今アメリカでは黒人差別の歴史を変えるような出来事が起きています。そこで、人種差別や戦争等の問題を扱った、学校の授業では教えてくれない「歴史のなかの物語」(フィクションでも、ノンフィクションでも)を選書を希望します。
→『BOOKMARK』の最新号と関連するテーマではないかと思いました。
(企画:紀伊國屋書店国分寺店・文学補佐 猪股)

『語られなかったアメリカ史』1〜3 オリバー・ストーン&ピーター・カズニック
『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』アンジー・トーマス
『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド
『ただの黒人であることの重み』ニール・ホール
『トレバー・ノア』トレバー・ノア
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★企画案3 【かつてYAだったひとたちへ】
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YAの小説は大人が読んでも面白いですが、書店では児童の棚にあることが多く、YAの時代を卒業してしまうとなかなか出会う機会がありません。そこで、金原先生に「大人が読んでも面白い、あるいは大人になったからこそ気づくことができる面白さ」という視点でYAの小説を選書希望します。
→新刊『わたしの全てのわたしたち』と関連づけて展開できると思いました。
(企画:紀伊國屋書店国分寺店 文学補佐 猪股)

『恋する寄生虫』三秋縋
『完璧じゃない、あたしたち』王谷晶
『メタリック』小佐野彈
『恋って何ですか? 27人がすすめる恋と愛の本』


【企画案2】(人種差別や戦争等の問題を扱った、学校の授業では教えてくれない「歴史のなかの物語」(フィクションでも、ノンフィクションでも)
まず最初に候補作が頭に浮かんだのが、この企画案2でした。
というのも、そもそも今回、「ドリトル先生」のシリーズが改訂版で出ることになった大きな理由がそこにあるからです。『アフリカへ行く』のあとがきにも書いたのですが、ヒュー・ロフティングのオリジナル版には黒人やネイティヴ・アメリカン(アメリカ・インディアン)に対する差別的な表現や、白人至上主義的な物語の展開があって、アメリカの図書館や書店から姿を消していたのです。しかし、作品を読めばわかるように、当時の社会をそのまま反映しているだけで、作者自身に差別的な考えがあったわけではありません。ヒュー・ロフティングがいま生きていたら、こんなふうに書いただろうという視点から、息子さんが書き直したのが、この「100周年記念版」です。こうして、「ドリトル先生」のシリーズはふたたびアメリカ中の書店や図書館に並ぶようになりました。
というわけで、「差別」を考えるうえで格好の本を紹介します。もちろん、「おもしろい!」という前提つきです。
まずぼくと、翻訳家の三辺律子さんとで編集している「BOOKMARK」の14号(「いまの世界を変えたい、変えよう」というテーマ)から3冊、『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』、『地下鉄道』、『ただの黒人であることの重み』を、16号(ノンフィクション特集)から『トレバー・ノア』を選びました。どれも比較的新しい本です。内容については、訳者の方が「BOOKMARK」で紹介してくださっているので、それを参考にしてください。
それ以外にもう1作品、ぜひ入れたかったのが『語られなかったアメリカ史』。これが素晴しい。教科書などで教えられることなく、また多くの場で語られることのないアメリカ史、つまり政府や体制側から書かれた歴史ではなく、政府や体制が堂々と(臆面もなく)やってきたことを批判的に捉えたアメリカ史です。つい最近出た第3巻(1945〜1962年)の中心は、原爆、冷戦、朝鮮戦争、そこにからむCIAです。
3巻の前書きで、D・ワトキンスはこう書いています。

イギリスの政治家ウィンストン・チャーチルは言った。「歴史は勝者によって書かれるものだ」と。彼のような権力をもった勝者たちが、きわめて長い間、黒人の歴史を抹殺してきたのだ。本シリーズでは、そうした権力者たちの隠された真実が語られる。

このシリーズ、世界史の復習になるとともに、新たな目でアメリカをながめることにもなり、さらに日本とアメリカとの関係を考え直すきっかけにもなると思います。
さて、ウィンストン・チャーチルは多くの名言を残した人ですが、この『語られなかったアメリカ史 3』の本文中、もうひとつ、こんな言葉が引用されています。
これは、ネヴィル・シュートの『渚にて』(1957年)がベストセラーになったときのことです。5年後のキューバ危機を予言するかのようなこのSF小説は映画化もされているので、ご存じの方も多いと思います。核戦争で北半球が滅亡し、死の灰が南半球にまで下りてくる。そのときのシドニーを舞台にした作品です。これを読んで感動したチャーチルは、当時のソ連共産党中央委員会第一書記、フルシチョフにこの本を送ろうといいます。そのとき、アメリカのアイゼンハワー大統領には送らないんですかとたずねられて、こう答えたそうです。
「それは金の無駄遣いというものだろう。今の彼はひどく頭が混乱しているようだ……」


というわけで、【企画案1】にいきます。「遠くに行った気分になる本」(海外でも、宇宙でも、異世界でも)
1冊目はこの『渚にて』です。内容はさっき書いたとおり。ひたすら死を待つシドニーの人々が描かれる一方、アメリカのシアトルから意味不明のモールス信号が発信されていることがわかり、一抹の希望を抱いて、シドニー港を出発した原子力潜水艦の旅が描かれていきます。いまから50年前に書かれた本に乗って、核戦争が終結した未来へ旅するのもいいと思います。それもコロナの時代に。
ぼくは旅にも観光にもまったく興味がなく、アメリカやイギリスに行くこともあるのですが、それは本をみて、本を買うためで、空港と本屋とホテルがあればそれで十分という人間です。なので、「遠くに行く」といわれると、つい、未来とか宇宙とかを思い浮かべてしまうようです。
なので、次の2冊もSFです。それも火星物。
『火星年代記』レイ・ブラッドベリ
『火星の人』アンディ・ウィアー(「BOOKMARK」6号で紹介してます)
『火星年代記』は70年前の作品です。核戦争による地球の滅亡、パンデミックによる火星人の滅亡などが様々な短編小説で綴られていきます。この作品、2006年で幕を閉じることになります。
『火星の人』は、映画『オデッセイ』の原作で、火星にひとり置き去りにされた男のサバイバルと、彼が生きていることを知ったNASAの救出法の模索が交互に描かれていきます。しかし次々にトラブルが起きて……という作品。じつにスリリングでおもしろい。密室の中でも冒険はできることを証明した1冊です。
SFの旅といえば、もうひとつ、パラレルワールド物があります。もうひとつの世界、もうひとつの自分を旅する物語は、旅行嫌いのぼくにとってはもってこいの乗り物です。ここ数年のパラレルワールド物のヒットはなんといってもジョー・ウォルトンの『わたしの本当の子どもたち』。
共同通信に書いた書評を要約して紹介するとこんな作品です。
1926年生まれの女性が大戦後、女学校で教えるようになったとき、彼から電話がきて、結婚するか別れるか決めろといわれるのですが、ここから彼女はふたりの自分を生きることになります。ひとりは悲惨な結婚生活を送りながらも、子どもたちがそれぞれの道を歩む姿をみつめるうち、社会的な問題に関心を持つようになり、もうひとりは結婚をあきらめて学校で教えながらフィレンツェの旅行ガイドブックを出版し、植物学者の女性と愛し合うようになって、やがて子どももできます。みじめな結婚生活を余儀なくされる彼女の世界が平和なのに対し、幸せな選択をした彼女の世界はテロや小規模な核戦争が起こっているという皮肉な設定が素晴らしい。それから、最初の章も最後の章も、老齢で意識が混濁し、ふたつの人生をまだらに思いだして〈今日も混乱〉している彼女を描いているのもうまい。悲しいような寂しいような、なんともいえない読後感が残ります。自分を主人公にした自分の旅をふと想像してみたくなります。

【企画案3】(かつてYAだったひとたちへ)
というわけで、最後は過去への旅ですね。いままで紹介してきた作品は暗い状況のものが多く、実際、必ずしもハッピーエンドではありません。しかしどれも、読んでよかったと思えるものばかりです。そしてどれも、ある意味、センチメンタルで、共感をそそります。
ぼくはセンチメンタルな作品が好きです。センチメントというのは「感情」という意味で、センチメンタルというのは「優しい気持ちをそそる」という意味です。また、一方で「感傷的な、感情的な、ウエットな、べたべたな」という意味も生まれてくるのですが、良くも悪くも文学というのは、センチメンタルなものなのです。そのなかから、自分に合ったセンチメンタルを探していくのが楽しいのだと思います。
そんな文学のなかから、ほどよくセンチメンタルなヤングアダルトむけの作品を選んでみました。
まずは三秋縋の『恋する寄生虫』。他人に触れられただけで拒絶反応を起こす重度の潔癖症の27歳男と、金髪、ピアス、煙草、寄生虫の本好きという少女のラブストーリー。この敵同士のようなふたりが何度も衝突をくり返しながら、惹かれ合うようになった途端、そうなったのは、同じ寄生虫が体内にいるからで、その状態が続けば、ふたりとも死んでしまうことが判明する。この設定もさることながら、読者の予想を見事に裏切りながら展開するストーリーが見事。
次は王谷晶の短編集『完璧じゃない、あたしたち』。リアルなものも、ファンタスティックなものも、SFも、ミステリもある、バラエティに富んだ23編。共通項は「女と女が主人公」。若返り手術で好きな年代に変身できる時代に50代にしかみえない格好をしている女性の話、骨折して引きこもりになっているうちに毛むくじゃらになってしまう女の子の話、などなど。発想も展開も乱暴で、痛くて切ないものもあるのですが、どれを読んでも、男も女も関係なくこの気持ちわかるよなと、つぶやいてしまいます。とくに、友だちがバスタブで人魚になって干からびてしまいそうなのを発見する女の子の話が最高。
3冊目は小佐野彈の歌集『メタリック』。ここに凝縮された愛と閉塞感と怒りのエネルギーはすごい。そして美しい。
「家々を追はれ抱きあふ赤鬼と青鬼だったわれらふたりは」
「ほんたうの差別について語らへば徐々に湿つてゆく白いシャツ」
「赤鬼になりたい それもこの国の硝子@ガラス@を全部壊せるやうな」
「血流は雨だと思ふ 扁平@へんぺい@な半身同士ぶつけ合ふとき」
「ほの赤き翼と翼絡みあひ二羽は揃つて昏@くら@き地に、落つ」
『恋って何ですか? 27人がすすめる恋と愛の本』というガイドブックで何か書けといわれて、まっさきに頭に浮かんだのがこの歌集でした。『メタリック』について熱く語っています。ぜひ、これも読んでみてください。


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